研究課題/領域番号 |
26370153
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研究機関 | 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、 |
研究代表者 |
出川 哲朗 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪市立東洋陶磁美術館, 館長 (50373519)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シノワズリ / 輸出伊万里 / ジャポネズリ |
研究実績の概要 |
オランダ、ドイツ、フランス、イギリス、ベルギーの各国の美術館、博物館には、17世紀から19世紀にかけて中国や日本から輸出された陶磁器が多数収蔵されている。 これまでドイツ、ドレスデンのツビンガー宮殿に収蔵されている中国陶磁器と日本陶磁器を調査をしてきた。その中心となる陶磁器は17世紀後半から18世紀前半のもので、コレクションの形成は1710年ごろからである。伊万里コレクションとしては世界最大の収蔵数を誇っている。このコレクションは主にオランダ東インド会社によって運ばれたものであり、このコレクションにみられる日本陶磁ブームをジャポネズリの一種と考えることができる。 ヨーロッパにもたらされた中国陶磁は日本陶磁よりも圧倒的に多くあり、シノワズリの中心は中国陶磁の影響が担ってきた。平成28年度はロココの中に入り込んだシノワズリを研究するために、パリの国立装飾美術館、ルーブル美術館、またセーブル陶磁美術館、アムステルダム国立美術館、ケルン東洋美術館などに収蔵される中国陶磁と日本陶磁の調査を行った。これらの調査から、シノワズリーははっきりとしたイメージではなく、東洋風という感覚で再現にとりくみ、宮殿の装飾の一部ともなっている。この中に、わずかではあるが、伊万里の影響をみることができる。 オランダのアムステルダム国立美術館での伊万里コレクションは充実していて、ドレスデンのツビンガー宮殿所蔵の伊万里コレクションとはことなり、伊万里磁器の多様な作例を見ることができた。このことから、ドレスデンのコレクションでは、ヨーロッパでジャポネズリーを最も積極的に推し進めていたことが分かった。伊万里のなかの柿右衛門タイプについてもドレスデンのコレクションの特徴を知る手がかりがえられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各美術館の担当者の協力を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度ではドレスデンの国立陶磁美術館の担当者の協力を得て、輸出伊万里がヨーロッパのシノワズリなかでどのような位置を占めていたかの報告書を纏める予定である。
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