研究課題/領域番号 |
26370158
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
牧 陽一 埼玉大学, 教養学部, 教授 (40241921)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中国現代アート / 公民社会 / アイ・ウェイウェイ / 文化大革命 / 格差社会 / 貧困問題 / 戸籍問題 / 人権問題 |
研究実績の概要 |
今年度から中国現代アートと公民社会の成立に関する研究を推進し始めた。初年度の活動として9月に広州、北京、3月に北京の調査を行う事ができた。広州では広東美術館、時代美術館などのアートスペースで美術展を見る事ができた。出稼ぎ労働者の生活を描写した映像作品もあり、こうした新たな方向性を持つ作品は格差社会を反映している。詳細について2015年度中に論文を発表したいと考えている。また当地では近代画家方人定の作品を観覧し、関係者に話を聞く事もできた。また文化大革命中の代表的な作品群も観覧する機会も持てた。今後の研究に生かしていきたい。北京では798、草場地のアートスペースを廻った。アイ・ウェイウェイ氏にインタビューを試み、作品の裏側にある社会問題や、現在の状況についいて取材できた。また3月の2回目では表現の自由をめぐる問題について思索することができた。取材の成果や論考は『埼玉大学紀要 教養学部』『Web ARTiT』『週刊読書人』に公表できた。プロパガンダアートあるいは反プロパガンダアート、さらに表現の自由の問題については日本への視座をも広げる事ができた。今年度は中国の民間団体の研究と調査を行っている麻生晴一郎氏、インターネットによる公民社会の成立を研究している古畑康雄氏らに専門的知識の提供と研究に対する助言を受けた。また天皇アート論の著者 新井博之氏にも日本の現代アートについて助言を受けた。またタッシェンのアイ・ウェイウェイカタログなど関係資料の収集も行う事ができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査研究はおおむね順調といえる。アイ・ウェイウェイ個人研究については今年度の重要な動向を把握できたし、論考の公表も実施できた。かなりの達成度はみとめられる。しかし公民社会の成立への研究は遅れており、関係資料の収集と論考を進める必要がある。そのためにはアイ・ウェイウェイ以外のアーティストや研究者との交流、資料の収集を図っていく必要がある。まずは今年度にきっかけをつかんだ格差社会の問題について、作品を通して考察を進めていきたい。公民としての自覚を得るに至るには戸籍問題、貧困問題など多くの課題をまずは克服する必要がある。この点に着目しなければいけない。その点では現在埼玉大学招へい外国人研究者 王立銘氏にも助言を受けている。文化大革命など一連の歴史的条件が個人、家族に影響している事が明らかになってきた。一個人の例から社会全体へのアプローチが可能ではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに調査を進める。6月、9月に北京調査を計画している。公民社会については個人史から全体像へと敷衍する方法を取りたい。そのためには社会学的な調査も必要になってくる。出稼ぎ労働者の問題、貧困の問題は戸籍制度の問題に端を発している。戸籍問題は中国の近現代史と無関係ではない。現代アートはこうした問題に対してどのようなアプローチをしているのか、具体的な作品、作家から探求する必要がある。アイ・ウェイウェイの例を出さなくとも、中国社会で生活する限り、中国社会の問題と無関係ではいられない。作品から読み解ける中国社会の現状をさらに作家、作品の調査、資料収集と論考によって補強していく。まず次年度はビデオアート、写真作品の写実性に着目し、そこからの生活状況、個人史の掘り起こしを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
83990円の繰り越しとなった。当初計画していた資料の購入が比較的に安価で済んだことが理由としてあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の海外旅費、謝金等に充てたい。次年度は北京調査が増える予定になっている。また研究者からの専門的な知識の提供も請いたいと考えている。
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