研究課題/領域番号 |
26370158
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
牧 陽一 埼玉大学, 人文社会科学研究科(学際系), 教授 (40241921)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アイ・ウェイウェイ / 社会問題 / 公民運動 / 中国現代アート / 現代アート |
研究実績の概要 |
北京へ2回、香港に1回、出張調査し、7項目の論文やインタビューを制作することができた。3月、6月には北京でアイ・ウェイウェイに会う事ができた。性の開放はフェミニズムの一部であるばかりではなく、人類の進歩であること、表現の自由を守る必要のあることを確認できた。それは公民の意識の高まりも代表するものだ。7月には艾未未はパスポートを奪回し、4年3カ月ぶりに自由の身になった。09年から足掛け7年になる研究の「成果」でもあると思う。成果は『週刊読書人』『アジア遊学』に公表することができた。 9月には香港での調査を実施した。現代アート「雨傘運動」に関する資料も収集し、ジェンダーに関する美術展も観ることができた。また艾未未も参加したDon't follow the wind など国内の美術展も観ることもでき、原発問題、安保法問題、教育問題、歴史認識問題などに日本の現代アートがコミットしていること、また表現の自由の問題では中国・香港・日本が相互の関連している点についても考察できた。成果の一部は『埼玉大学紀要』で公表した。 また16年2月には再び北京入りし、中国前衛芸術の最初のグループ「星星画会」の中心メンバーだった黄鋭を訪ね、インタビューを行った。作品の背景、当時の状況やその後の活動について知ることができた。翻訳して公表したい。 今年度は北京、香港、東京へとフィールドを広げ、公民運動と現代アートの接点を調査し、考察することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多くの作品を観、アーティストの意見も聞き取ることができた。7項目に及ぶ成果も公表することができた。3月のアイ・ウェイウェイ インタビューでは4月の『週刊読書人』に発表し、ろくでなし子事件、芸術表現の自由、フェミニズムに関して問題提起もできた。またアイ・ウェイウェイとろくでなし子の対談も実現し、内容をウェブ雑誌アートイットにアップした。またろくでなし子事件に関する意見書も『埼玉大学紀要』に発表した。さらに北京でのアイ・ウェイウェイ展の内容や批評もアートイットに掲載した。さらに2015ねんまでのアイの活動を作品が体制によって醜悪に模倣されたことを『アジア遊学』に発表した。担当者自身の1年の活動の成果と考察をメモ書きの形ではあるが『埼玉大学紀要』に発表した。多くの調査を実施することができたが、まだ資料の収集が十分とはいえないので継続して進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
中国さらに広域の研究調査が必要となっている。またこれまでの論文を編集し単行本化する必要もある。 中国ばかりではなく汎アジア的視野で、社会問題や公民運動と現代アートの関係を調査研究する。今後は継続して北京ほか中国での調査をおこなう。また香港の雨傘運動に加えて台北のひまわり運動と現代アートに関する資料を収集する。また日本の美術展も観て、可能な限りの資料を収集する。 さらに世界各地の現代アートと公民運動に関する歴史や現状についても可能な限り収集し、比較対照的考察の助けにしたい。 最終年度に当たるので3年間の研究の取りまとめを行い、大学紀要やアートイットなど発表可能な媒体で公表していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張調査を3回行ったが、資料の購入が繰り越されている。また買い換えの必要なパソコン等の機器の購入も次年度に計画されている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には大型の資料集、比較的に大型の機器の購入が計画されている。また北京上海香港など数回の海外出張を行う予定である。
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