研究実績の概要 |
平成26年度は、計画通りにさまざまな映像資料を収集して入手した映像資料の分析作業を進めるとともに、2度の海外への視察で検証対象となる効果を確認した。 バレエからコンテンポラリーダンスやストリートダンスまで幅広いダンスの映像を集め、アノテーションソフトELANを使って分析を進めた。また並行して、クラシックバレエ『白鳥の湖』(振付:Marius Petipa)、抽象バレエ『アポロ』(振付:George Balanchine)、モダンダンス『シューベルト・ワルツ』(振付:Ruth St. Dennis)、ジャズダンス『男なら、やってやれ』(振付:梅棒)などの作品の特徴的な場面の抽出を進め、その中から一部のダンス映像シーンでは実際に音の変更や入れ替え、ダンス映像シーンのシンメトリー化、スローモーション化といった実験素材用の映像制作作業も進めた。 また、2度にわたりフォーサイス・カンパニーのダンス公演への視察を行い、『Study#3』、『Yes, We can’t』(振付:William Forsythe)という二つのダンス作品における音楽とダンスの関係を観察した。特に『Study#3』におけるThom Willemsの音楽は、もはや音楽というより効果音というべきものだが、裂くような質の高音や間欠的に震える低音の切迫感が、鑑賞者の不安を煽り、その不安の矛先をダンスへと向かわせる効果を観察した。この効果は、今後の検証課題の一つとなった。
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