研究課題/領域番号 |
26370160
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
渡沼 玲史 一橋大学, 大学院法学研究科, 助手 (50419751)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 舞踊 / 知覚の効果 / 実験的創作方 |
研究実績の概要 |
平成27年度は計画どおり映像資料を収集し、入手した映像資料の分析と分析手法の確立をすすめた。 日本舞踊、バレエ、コンテンポラリーダンス、ストリートダンス、フラメンコ等のさまざまなダンスの映像を集めてアノテーションソフトELANを使って分析を進め、特徴的なシーンの抽出をすすめた。また音楽の入れ替えによって、知覚の効果がどう変化するのかの実験をすすめた。具体的にはバレエ『ロミオとジュリエット』(振付:マクミラン、音楽:プロコフィエフ)のジュリエットの寝室のシーンで使用されている音楽をさまざまなダンスに当てはめてダンスの効果がどう変化していくかを検証した。検証した中で特に効果があったのがNonstopによるストリートダンス『I need your love』であり、もともと音をただ引き写しただけのバレエとは全く異なる動きだったものが、悲劇的な印象を与えるようになった。単に音の効果だけによるのではないことは、他のダンスに当てはめた場合に同様の効果がないことから明らかであるが、何故このストリートダンスに効果があったのかは今後実験を重ねて検証をする必要がある。 また、振付家フォーサイスによるインスタレーション展の視察を行った。フォーサイスはダンサーにさまざまな条件を課した上での集団的即興によって作品を創ることで知られているが、このインスタレーション展では鑑賞者がさまざまな条件を課されたダンサーに近い状態で身体を使うことを求める展示が多く、実際に体感することで集団即興時のダンサーの意識と身体を知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は計画通り映像資料の収集と分析を進めたが、充分な知覚効果のリストが作成できていないためドイツ・ダンスアーカイブ・ケルンへの訪問を行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き映像資料の分析と特徴的なシーンの抽出を進めるが、まず特徴的なシーンの抽出のためにクラシック・バレエや日本舞踊などの作品で特に物語的な意味がはっきりしたシーンの動きと音を取り出し、それを素材とした実験を行う。その後に実験的創作法による舞踊の特徴的なシーンや日常的な人の動き等にその効果が応用可能かどうかを確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
知覚の効果のリストが充分に蓄積できなかったためにニューヨーク・パブリック・ライブラリーへの出張を次年度に行うこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に実施する予定だったニューヨーク・パブリック・ライブラリーを行う。
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