研究課題/領域番号 |
26370162
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大道芸人 / 江戸 / ウィーン |
研究実績の概要 |
平成26年8月~9月の間には、ウィーン市立図書館、オーストリア国立図書館などの資料調査を行い、数多くの貴重な史料を発見した。これからの研究に役立つと思われる箇所を写真撮影・コピーし、あるいは手書きで控えた。それに加えて、近世日本と17~19世紀の基本的な資料類の調査と収集作業を重点的に行い、すでに入手してある資料のパーソナルコンピューターへの入力・整理作業を開始した。特に『江戸町触集成』(全20冊、塙書房)に所収されている大道芸人と門付芸人に関する幕府令などを調査し、近世社会の中の芸人の身分、社会的役割などについて研究した。
上流社会の芸能とは対照的に、門付け芸・大道芸が為政者の注目を引いたのは稀であるため、史料の性格は極めて断片的であることが確認できた。門付け芸・大道芸の全貌をつかみながらそれを比較するためにはなるべく多くの既刊・未刊の史料にあたることが必要であることがわかり、来年度にさらなる調査が必要であることがわかった。
近年に刊行された関連する欧米の著書と学術雑誌に掲載された論文を調査・入手するため、2015年2月には一週間渡米した。主にアリゾナ州立大学付属図書館に所蔵されている書物と学術雑誌において、国際的な比較研究の現状と研究の方法論の諸問題点を研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進んでいるが、オーストリアの図書館、資料館、文書館、博物館などに所蔵されている史資料は意外に豊富であり、研究に役立つと思われる古記録、手書き資料、著書、学術雑誌などが無数に存在している。それを徹底的に調査することは時間がかかる。
また本年度に当たった多くの史料は直接には大道芸人には焦点が合わされていないため、数千頁の中から重要な一、二行を探し出すにも多くの時間を要する。
しかし、少しずつ新史料を発掘することに成功しているので、本年度と来年度には本格的に論文作成に取り組むことができる。
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今後の研究の推進方策 |
調査範囲を本研究の核となる日本とオーストリアに重点を置きながら、ヨーロッパ各地の大道芸の実態比較研究のために調査するにあたり、夏期休暇中に2ヶ月程度ヨーロッパに渡り、ウィーン市立博物館(Wien Museum)、ウーイン市立図書館(Wienbibliothek im Rathaus)、オーストリア国立美術館(Kunsthistorisches Museum)などを中心に資料調査を行う。
外国の書籍、古文書などの調査と同時に日本の大道芸と芸能市場にかかわる資料館、図書館の史料も調査・収集し、史料類の解読、筆耕を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入が必要と思われたヨーロッパ芸能史関係図書の一部は、ウィーン市立図書館に所蔵されていることが判明し、現地でそれらを使用することができた。またノート型パソコンは安価なものを購入し、経費節減に成功した。
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次年度使用額の使用計画 |
これまでウィーンにて史料を蒐集を行い、それらが存在しているほんの一部であることがわかった。この分野においての深い知識と情報をまとめるにあたり、現地調査の必要性を痛感し、それらの作業を継続するため出張期間を延長し、旅費、宿泊費に使用することを予定している。
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