研究課題/領域番号 |
26370162
|
研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 大道芸 / 江戸 / ウィーン |
研究実績の概要 |
平成27年7月29日より10月5日までオーストリアのウィーンに滞在し、主にウィーン市立図書館(Wienbibliothek im Rathaus)、ウィーン市立中央図書館(Hauptbuecherei Wien、オーストリア国立図書館の音楽資料館(Musiksammlung)や民謡料館(Das Archiv des Oesterreichischen Volksliedwerkes)などにおいて、18~19世紀ウィーンに作成された日記、手記、雑記などを中心に調査を行った。特にマティアス・ペルトの膨大な日記に含まれている音楽と芸能に関する項目に注目し、5,000コマ以上をデジカメで撮影した。今回はウィーン会議(1815年)前後のウィーンにおける音楽界に注目し、コンサートホール、教会、舞踏会、大道などに演奏された様々な音楽の全体像を把握することに努めた。
それらの資料を解読、翻刻、和訳したことで、その分析も可能となり、研究成果の一端を「マテァス・ペルトの日記に見られる1814年~1815年のウィーン会議と音楽ーー会議の開始まで (The Congress of Vienna and Music as Revealed in the Diaries of Matthias Perth (1814-1815)」を『山梨大学教育人間科学部紀要』(第17巻、2016年、253-266頁)に発表した。
また、昨年から本年にわたりまとめた江戸の17~19世紀における大道芸の歴史的変質に関する『Street Performer and Society in Urban Japan, 1600-1900: The Beggar's Gift』と題された単著を刊行した(London:Routledge, 2016、全415頁)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
度重なる海外での図書館、史料館などにおける資料調査、収集、撮影により、単著一冊(英文)と論文一編(和文)を執筆・刊行することができた。しかし、発見した資料が膨大のため、平成28年の夏には更なる調査・収集・撮影が必要である。また、和文の論文は限られた年間(1814~1815年)に集注しているが、この年間を広げ、芸能が長期にわたりどのように変化・変質したかを分析することが望ましい。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年夏には8月~9月にもう一度オーストリアに渡り、マティアス・ペルトの日記の後半である約25冊の資料を調査・撮影し、またペルト以外の記録者の資料も調査・翻刻し、それを分析することによって、研究を深化し推進する予定である。
また、江戸に数多く活躍した女性大道芸人、盲人大道芸人と、ウィーンの女性視覚障害者との比較も重要と思われるので、日記、手記、雑記などの未翻刻の資料を中心に彼女らの実態をを把握することが不可欠である。本年度にこれらの資料を重視する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
原油の下落などにより航空運賃は予定した額を下回り、昨年計画した旅費の金額よりも少額で済んだ。また国外に発見した資料は膨大のため、その翻刻と分析に時間がかかり、国内の資料館などでの調査は平成28年度に回すこととなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には8月下旬~10月上旬まで、海外の資料調査・収集を継続するため、当初予定した期間を延長することが必要である。また国内における数箇所の資料館・図書館などに調査を行うことも予定しているため、旅費の増額が必要である。
|