この研究では主に元禄頃以降の江戸と18世紀後半~19世紀前半のウィーンの音楽文化、とくに一般社会あるいは下層階級の芸能に焦点を合わせ調査・分析した。研究を遂行するために数多くの日記、古文書、随筆などの史料を発掘し、両市のそれぞれの事情を明らかにした。
ウィーンの事情を調査するにあたり、未刊の資料であるマティアス・ペルトの膨大な手記を発見したことは、この研究の大きな成果のひとつといえる。江戸はウィーンと同様、社会の階層により音楽文化が異なることを具体的に示すことができた。この研究に基づき単著一冊あるいは学術論文三編を刊行した。
|