資本主義が20世紀に示した兆候が、労働の均質化により脱肉体化した人間関係を生みだすことにある、という本研究に先立つ科研費から得られた結論をもとに、本研究においては「脱肉体化時代の官能的思索」をテーマに、毎年2篇ずつ計6篇の論文を発表した。また国際企画『フルッセリアーナ』(ヴィレム・フルッサー辞典)への執筆を依頼され、日本人として唯一その執筆者に加われたことも、研究の大きな成果だといえる。本研究は、レベッカ・ホルンが作品化する脱肉体化が生む「人間不在の美学」と、ロボットが人間の知能を超える時代における人間のあるべき姿を追求したヴィレム・フルッサーの思想が相互補完的に結びつくことを解明した。
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