研究課題/領域番号 |
26370165
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研究機関 | 秋田公立美術大学 |
研究代表者 |
志邨 匠子 秋田公立美術大学, 美術学部, 教授 (00299926)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 日米美術交流 / 冷戦 / 日本古美術 |
研究実績の概要 |
本研究では,冷戦期のアメリカにおいて,日本の古美術がどのように受容されたのかを明らかにし,日米両国の視点から,対米,対日の文化政策について考察する。主に,①シアトル美術館に本古美術展(1949年),②サンフランシスコ日本古美術展(1951年),③アメリカ巡回日本古美術展(1953年)の3件の展覧会を取り上げる。 27年度は,3件の展覧会について,国会図書館,早稲田大学図書館等で,資料調査をおこなった他,ワシントンDCのアメリカ議会図書館およびワシントン・ナショナル・ギャラリーにて,調査をおこなった。議会図書館では,①と②の展覧会に関する,現地の新聞,雑誌記事を収集した。ナショナル・ギャラリーは,③の巡回展の最初の開催地であり,当時の資料(展覧会開催に至る内部資料,会場写真,新聞の切り抜き等)を閲覧,複写することができた。 この成果は,明治美術学会総会(27年12月)において,口頭発表をおこない,また『秋田公立美術大学紀要』第3号(28年2月)において,論文を発表した。内容としては,前者は1950年前後のアメリカで開催された日本古美術展覧会を概観し,アメリカが対共産主義政策の一環として,日本の古美術を中国美術と差別化し,高く評価しようとしていたことを明らかにした。後者では,③の巡回展に焦点を当て,展覧会の経緯と出品作品に対する現地での評価を分析した。 27年度の調査において,3件の展覧会に関する基礎資料を出来る限り収集し,現地での評価についても,アメリカの新聞,雑誌記事から,多くの情報を得ることができた。これらの資料は,日本国内では入手し得ないものであり,現地調査が本研究に重要な手段となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度の研究実施計画に沿って,ほぼ予定どおり調査研究が遂行された。ワシントンDCでの調査では,スミソニアン協会のアメリカ美術公文書館での調査を予定していたが,当該資料が議会図書館とナショナル・ギャラリーのアーカイブにも所蔵されていることがわかり,2機関で調査を完遂した。またニューヨークのメトロポリタン美術館での調査も予定していたが,日程調整ができず断念した。しかし,当該資料の大部分を,ナショナル・ギャラリーのアーカイブにて,閲覧可能であったため,調査は順調におこなわれた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は,最終年度であるため,2年間での調査を経て,新たに必要となった資料収集をおこなった上で,最終報告書の作成をおこなう。3件の展覧会を全体的に俯瞰する大きな視野から,議論を発展させる予定である。 方法としては,国立国会図書館,早稲田大学図書館等での資料収集,勤務先の秋田公立美術大学附属大学図書館からの資料取り寄せ等により,調査をおこなう。
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