ナショナリズムの形象化現象として、フランス革命後の集団祝祭、モニュメンタルな構築物、折衷主義建築に着目し、「様式」の希求がアイデンティティの構築とかかわりがあることを明らかにした。そして、様式のもたらす記号化が、諸メディアの発展した20世紀に入って、時代の変化(第一次大戦、共和国の成立、大衆による新世界構築、視覚メディアの登場)でどのように具体化したかを具体例を丹念に収集して分析した。その過程で言語的様式化としての「概念」の操作性がもたらすパラドックス問題、可能世界のディスクール分析、フリッツ・ラングの『ニーベルンゲン』の様式分析で検証した。
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