研究課題/領域番号 |
26370170
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
譲原 晶子 千葉商科大学, 政策情報学部, 教授 (80283224)
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研究分担者 |
奥 香織 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (30580427) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 演劇と絵画 / 演劇と弁論術 / フランス18世紀 / オペラコミック / 定期市のパフォーマンス / パントマイム / バレエ |
研究実績の概要 |
平成28年度は、次の二つのことを中心に取り組んだ。① 18世紀フランスの演劇、パフォーマンス舞台をめぐる社会的、思想的背景を把握し、劇的バレエが誕生の下地となる諸条件について検討した。② 18世紀フランスに見られた民衆起源のパフォーマンス現象のなかから、とくに劇的バレエ誕生と関連があると考えられるものを抽出した。 ① 平成27年度に引き続き、Angelica Goodden: ACTIO AND PERSUASION, Dramatic Performance in Eighteenth-Century Franceの内容を詳細に検討し、その成果を、邦訳『演劇・絵画・弁論術ー18世紀フランスにおけるパフォーマンスの理論と芸術』(筑波出版会)として刊行した。演劇を舞台芸術という文脈にとどめず、絵画芸術(視覚芸術)、弁論術との関連のなかで捉えたこの書をとおして、今後より広い分野の専門家と情報を共有、交換していければと考えている。 ② 平成27年度までは、劇的バレエの系譜を、宮廷娯楽から王立アカデミーの流れのなかで捉え、宮廷バレエ、オペラバレエといったジャンルから劇的バレエへのつながりを中心に検討していたが、平成28年度には、パリの定期市において旅芸人たちによって展開されたパントマイム、ヴォードヴィル、オペラコミック、その他のパフォーマンス、イタリア人劇団の上演作品など、主に民衆起源のパフォーマンス・ジャンルに注目し、そこから劇的舞踊の萌芽と考えられる要素を探った。この研究は、平成28年度においては成果の発表をするまでに至っていないが、今後引き続き進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は諸事情によりあまり研究時間を確保することができなかったため、予定よりかなり遅れてしまっている。しかし、平成27年度の研究を継続しその成果を発表し、また、この研究を通して次のステップに進むための重要な視点を見出すこともでき、遅れてはいながらも確実に進展している。このまま着実に進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成28年度に引き続き、上記(研究実蹟の概要)②の課題を勢力的に進めていく予定である。この課題に関しては、学術的研究がいまだ非常に手薄であり、ごく基本的な資料から新たな見解を浮き彫りにしてゆくという作業が何よりも優先されると考えられる。これらの資料は、インターネットなどを通して収集・閲覧することが可能であるため、まずは資料の読み込みに時間を裂くという方針で進めてゆく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度において、次の二つの理由により次年度使用額が生じた (1) 成果発表のための印刷・製本代の一部にあてるために27年度の予算を28年度に繰り越したが、最終的には自費で行ったため、その分の費用が残額となった。 (2) 諸事情により、平成28年度は研究活動にあまり時間をあてることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度も前年度と同様に科研費による研究活動を一時休止せざるを得ない期間があり、研究はさらに遅滞せざるをえない状況にある。しかし最終的には着実に成果をあげていきたいと考えており、今後の状況によっては研究期間の延長を行い研究を継続実行し、研究費を使用してゆく予定である。
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