本研究は、現代のパフォーマンス・アートと演劇における身体と苦痛の表象に焦点を合わせ、メディアとしての身体と苦痛および共同性の関係について考察した。マリーナ・アブラモヴィッチ、ロン・エイシー、ステラークなど重要なアーティストによる作品を中心に、身体的苦痛が喚起する情動と、観客の関与のあり方、意味生産および解釈の準拠枠を越える情動の作用を検討し、排他的な共同性の構成を刷新する情動の可能性を明らかにした。また技術と接続した身体と観客の体験に着目して、身体的知覚の変容について検討した。本研究は演劇・パフォーマンス研究において自明とされる、「現前」の枠で捉えられた身体のメディア性を明らかにした。
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