研究課題/領域番号 |
26370179
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40271358)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 梅蘭芳 / 訪日公演 / 京劇 / 大倉喜八郎 / 木下杢太郎 / ロイ・フラー |
研究実績の概要 |
本年度は、当初より計画していた国内資料調査のうち、特に新聞雑誌に関する部分をほぼ完了した。記事一覧は引き続きデータベースとして入力しており、容易に通覧が可能となっている。 上記データを活用しながら、本年度中の2016年10月に北京、また2017年3月にカナダ・トロントでそれぞれ開催された国際学会で、これまでの研究成果の一部を報告した。北京では、1917年に大倉喜八郎が見た『天女散花』初演時に、この演目が外国の舞踊に似ていると言う指摘がなされた点に関して、それがモダンダンスの創始者の一人、ロイ・フラーの影響を受けていたのではないか、という仮説を検証する研究発表を行った。またトロントでは、1919年の梅蘭芳訪日公演実現以前に日本にもたらされた梅蘭芳に関連する情報について、特に1916年末から1917年春にかけて作家木下杢太郎によって発表された一連の文章およびその周辺事情について報告した。いずれも国外の研究者より、一定の反響を得ている。 さらに、本研究によって収集された1919年の訪日公演関連資料を広く公のものとするため、国際交流基金の協力のもと、北京にある梅蘭芳の遺品その他関連資料を管理する中国芸術院所属の梅蘭芳記念館と資料集の刊行の計画を進めた。2016年11月に、記念館の研究員で梅蘭芳の曾孫に当たるM氏ほか一名が早稲田大学を訪問し、その折に資料集刊行の計画を申し出たところ、ぜひ協力したいとの返答をいただいた。今後具体化に向けて相談を続ける予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、国内資料の調査は現時点では完了している予定であったが、一番手間のかかる新聞雑誌についてはほぼ完成に近づいているものの、国内他機関の資料については一部未着手のところがある。ただ残余の部分は物量的には限られたものであるため、時間的には多くを要せずに作業を完了できると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
上述のように、資料一覧に関しては早めに作業を完了させたい。また、これらのデータを活用した研究報告については、現時点で決まっているところでは、2017年11月に上海で開催される国際シンポジウムで部分的な研究発表を行う予定である。 研究完了後の最終的な成果報告については、「研究実績の概要」で述べたように、本研究で収集した情報や資料を、中国で刊行することが出来ないか、北京の梅蘭芳記念館と相談を始めている。2017年5月に北京を訪問し、この件について梅蘭芳記念館、および国際交流基金北京事務所と会合を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2015年度末に疾病のため、一度国際シンポジウムをキャンセルした。その折に余った予算額が、消化しきれない形で残っている。また研究補助者が作業に従事できない時期があり、その分の謝金も次年度使用額に含まれている。
|
次年度使用額の使用計画 |
2017年度は研究発表のための海外出張を通常より多めに行う予定であり、主にそのための旅費として使用予定である。またさらに余剰額が出た場合は、謝金として使用する計画である。
|