研究課題/領域番号 |
26370179
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (40271358)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 梅蘭芳 / 大正期日本 / 古装新戯 / 天女散花 / 大倉喜八郎 / 木下杢太郎 / 松旭斎天勝 / 帝国劇場 |
研究実績の概要 |
2017年度は、当初計画の最終年度として、資料データベースの仕上げ、国内外の継続的資料調査、国外における研究成果の報告、さらに2019年の梅蘭芳訪日百周年の記念イベントへの参画などの作業に取り組んだ。 新聞雑誌資料のデータベースについては、国内分に関しては資料の複製と整理、入力をほぼ終了した。現在は新聞紙面を画像データ化しつつ、最終的な仕上げ作業を進めている。また当時の東アジアにおける梅蘭芳受容について多方面から情報を得るため、補足的に台湾の新聞資料に関しても資料の調査収集を進めた。 一方、これまでの研究成果については、2017年11月に上海で行われた「第四回清末民初新潮演劇国際シンポジウム」、また2108年3月にアメリカワシントンDCで開催された「2018 Chinoperl」に参加し、それぞれ訪日前の梅蘭芳の創作活動と当時の東アジアの演劇との関係について、中国語で研究報告を行った。 梅蘭芳が訪日公演の際に主な上演演目として選んだ古装新戯が、部分的に上海の新劇や日本の芸能の影響を受けている可能性がある点を指摘し、当時の東アジア地域における梅蘭芳の位置づけについて、あらためて検討を促す研究報告となった。 このほか、梅蘭芳訪日以前に木下杢太郎など日本人によって描かれた中国演劇に関連する絵画作品についての文章を、代表者が翻訳をした書籍の補説として発表している。 また2019年の記念イベントについては、北京の梅蘭芳記念館の関係者と連絡を取り合い、協力体制の構築に向けて相談を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画開始後に、代表者が他の複数の科研費の分担者となり、それらの作業と本計画を並行して進める形になったため、一部の作業について遅れが出ている。最終年度の予算を基金として2018年度に繰り越したので、それを用いて残りの作業を完遂したい。
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今後の研究の推進方策 |
2019年の梅蘭芳訪日百周年に向けて、研究成果の一部を公にするという当初の計画を、引き続き推進したい。新聞雑誌のデータベースのほか、当時描かれた梅蘭芳に関連する絵画などについても、早稲田大学演劇博物館所蔵資料を中心に調査研究し、早めに成果を公にしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本計画開始後、代表者が他の科研費(基盤B二つ、基盤C一つ)の研究分担者となったため、本計画の遂行に遅れが生じ、予算も一部が繰り越されることとなった。次年度使用額については、収集した資料の整理作業のための謝金、および2018年度中の研究成果報告のために使用留守計画である。
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