本研究は、現実の断片化と再結合=モンタージュをキー概念として、映画における「土地の記憶」について、フロイト以降の思想状況との関連において探求した。主な分析対象としたジャン=クロード・ルソー、ドミニック・オーヴレイ、ペーター・ネストラー、ルドルフ・トーメ、クラウス・ウィボニー、ライナー・コメルスは、今なお映画の最前線で活躍しており、本研究によって彼らと出会い、その技法、映画的思考についてインタヴューを行えた価値は非常に大きい。特にドイツ出身の4人の作家は、未だ日本にはほとんど紹介されておらず、本研究がその先駆けとなった意義は大きい。戦後ドイツの映画史の読み直しが進むことが期待される。
|