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2015 年度 実施状況報告書

「赤いヴィーン」における音楽政策とモダニズムとの関係

研究課題

研究課題/領域番号 26370188
研究機関大阪音楽大学

研究代表者

西村 理  大阪音楽大学, 音楽学部, 准教授 (00552738)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード音楽政策 / シューベルト没後100年
研究実績の概要

研究2年目の本年度は、シューベルト没後100年である1928年にウィーンで開催された3つの音楽祭、つまり第10回ドイツ合唱同盟祭、オーストリア社会民主党が中心となったシューベルト祭、キリスト教社会党が中心となったシューベルト祭に関する資料および新聞記事の収集・整理・読解を主な目的とした。研究実施計画においては、1928年という年は重視していなかったが、前年度の研究成果を踏まえ、オーストリア社会民主党の音楽政策の独自性が、1928年という年に顕著に現れると考え、研究の方向を修正した。本年度の成果は主に以下の3点である。
1、6月と11月の2部に分けて開催されたオーストリア社会民主党のシューベルト祭と1月にのみ開催されたキリスト教社会民主党のそれに関する新聞記事を収集し、データベース化した。データベース化に続いて、読解の結果、前者ではドイツとの合邦が目指され、「大ドイツ」の象徴としてシューベルトが位置づけられていたのに対して、後者ではシューベルトはオーストリアの伝統と結び付けられていた。
2、7月に開催された第10回ドイツ合唱祭に関する資料収集には、大きな催しであったため時間を要した。この合唱祭では、「大ドイツ」を強調するものであったため、当然のことながらウィーン市長はスピーチをしたが、オーストリア連邦首相も出席し、「大ドイツ」を語ることはないものの、スピーチをした。またパレードでは、「大ドイツ」の面が強調された。
3、『Oesterreichische Arbeiter=Saengerzeitung』における1928年のシューベルトに関連する記事を調査・収集した。その結果、Paul StefanやPaul A. Piskといった当時のウィーンのモダニズムに関わる人物による記事も見つけることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

所属研究機関の2016年度からの新専攻の立ち上げに伴う諸業務の増加により、収集した多くの資料の読解と分析にあてる十分な時間を確保することが極めて困難であった。そのため前年度の右足骨折のための遅れを取り戻すこともできなかった。また当初想定していたより収集する新聞やその記事が多かったことも、予定より遅れている理由である。

今後の研究の推進方策

2年間の研究達成度を踏まえて、次年度に以下の方策で行う予定である。
1、収集した資料の読解と分析を行うことに尽力する。
2、オーストリア社会民主党の音楽政策についての研究を進めていくなかで、1928年が重要な年であることが判明したため、研究計画の変更を行う必要性がでてきた。そこで新ウィーン楽派に代表されるモダニズム音楽を重要視ししたダーフィト・ヨーゼフ・バッハが残しているシューベルトに関する文章を読み解くことで、同党の音楽政策の中でのシューベルトとモダニズムとの位置関係を明らかにしていく。
3、オーストリアのラジオ放送局RAVAGでの1928年のシューベルトの放送を整理し、ウィーンで開催された3つの音楽祭との関係付けを行う。
4、1928年を中心にし、同党の音楽政策を芸術政策のなかに位置づけていく。

次年度使用額が生じた理由

旅費のうち日本からウィーンまでの飛行機代が予定より抑えることができたため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

次年度の物品費として使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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