研究課題/領域番号 |
26370189
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研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
猪股 剛 帝塚山学院大学, 人間科学部, 准教授 (90361386)
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研究分担者 |
宮坂 敬造 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (40135645)
川嵜 克哲 学習院大学, 文学部, 教授 (40243000)
田中 康裕 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (40338596)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 変容体験 / 演劇的変容 / 心理療法的変容 / 質的体験 |
研究実績の概要 |
最終年度は、国際学会での二度の発表、国内学会での発表と三度にわたる学術発表を行うと共に、学術論文を二本学会誌に投稿し、一本は既に採用が決定し、もう一本は審査継続中となっている。また、アーツ前橋における演劇的作品発表とシンポジウムを通じて、研究結果をより一般に分かりやすい形で示すことも行った。 採用された投稿論文「かすかな移行」では、演劇的な体験と心理療法な体験に共通する因子である現実の変容体験が、実は人生を変革するような極端な体験として成立することは少なく、むしろ現代においては、変容と云うよりもかすかな状態のシフトとして体験されることを示した。それはとても微かな変化なのであり、当事者の自覚も微かな変化があったとしかとらえていないことも多いのだが、その一方で、当事者の生活空間や生活様式は客観的に見てと大きな変化を起こしている。変更不可能な現実や現実原則だと思われていたものが、変更可能であるという認識を持つようになり、精神的な自由度が増し、より活発に主体性を持って行動できるようになっていく。そのような変容体験が、実は継続する変容となり、一過性の大きなイベント的な体験とは質の違う効果をもたらすことが、本研究から明らかになってきたと言える。 また、このような研究結果を踏まえ、それを社会に還元し発表していく中で、聴衆からは好意的な反応が多く、変容体験の強度よりも、そのかすかな質を高めていく方策が議論された。その質的な変化とそれを引き起こす因子の抽出に関しては、研究者の今後の課題として継続して取り組んでいくことを考えている。
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