我々は、老練の美術家となった山口勝弘の現在を追い続け、多くの知見を得る事ができた。調査を通していえる事は、飽くなき創造の世界を具現化しようとする山口の強固な信念の礎には「環境」があり、それは風化することなくさらに強さを増していることである。それに加え、老いや身体の不自由さをも創作の力に取り込む姿そのものが、山口の変わらぬ「前衛的精神」であり、表現せずにはいられない意をも持つ「アウトサイダー・アート」を体現していることがわかってきた。 本研究により、日本の前衛芸術を牽引し、メディアアートの先駆的存在である山口勝弘の新たな展開を発見したことで、継続調査の必要性を確認することもできた。
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