研究課題/領域番号 |
26370191
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
赤井 敏夫 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (00192873)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 映像学 / インド映画 / 南アジア / 女流監督 |
研究実績の概要 |
2015年度は(1)2014年度開催の国際シンポジウムの成果のまとめ、および(2)現地調査の2つの軸に沿って研究を行った。 (1)の国際シンポジウムの成果のまとめは、まず文字起こしを行ったが、その過程で副次的に生じた幾つかの問題点に着目し、招聘スピーカーであるローヒニーおよびニティヤ・メーネンに対して内容確認を行った。その方法はネットでの通信、および直接の聞き取り調査(下記の(2)参照)を介したものであったが、この意見交換で研究目的である「インド映画における女性性の表象」に関して幾つかの有効な助言を得た。 (2)の現地調査では、2015年8月8日から15日にかけてインドのチェンナイ、ハイダラーバード、バンガロールに滞在し、以下の要領で聞き取り調査を行った。 ローヒニー(8月8、9日、チェンナイ)、アヌシュカ・シェッティ(8月11日、ハイダラーバード)、ウルワシ(8月13日、ハイダラーバード)、ニティヤ・メーネン(8月15日、バンガロール)。 ローヒニーとニティヤ・メーネンへの聞き取り調査は上記のように国際シンポジウムの内容確認が中心であったが、ヒロイン映画Rudramadevi(2015年10月公開)に主演したアヌシュカ・シェッティに接触して、ヒーロー中心のフォーマットが強固な南インド映画において、ジェンダーと性格づけが逆転している「男装の女剣士」を演ずることの意義、従属的位置にある女優がヒロイズム表現を主目的とする映画界で生き残るためのキャリア戦略に関して直接証言を得たことは極めて有意義であった。同映画の監督グナセカールにも聞き取り調査する予定であったが、残念ながらスケジュールが合わず接触できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際シンポジウムの成果報告に関しては文字起こしに改訂を重ねて最終稿を完成するまでに至ったもののウェブ公開にまで至らなかった。 現地での聞き取り調査はおおむね順調に推移している。 文献研究は先行研究の検証を進めたが、インド映画において女性性の映像表現がどのように定着したかを映画史的に認識する過程で、トーキー直後の映画の資料が不足して、全体像を把握するまでに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
国際シンポジウムの成果報告をウェブ公開する。 2015年中に得た知見を学会発表、学術論文で公開し学術上の指摘や助言を仰ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際シンポジウム参加車が文字起こし原稿を確認するのに時間がかかったためウェブ版の作成に着手できなかった。ウェブ版作成用に準備した予算が消化しきれずに残ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画通りウェブ版作成用費用として使用する。
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