本研究は①「母なるインド」の図像が占める映画史位置の解明、②女性ヒーロー映画の分析、③現役女優への聞き取り調査の3つを軸に、女性表象の映像表現が変化するインド社会の中で映画観衆にどのように受容されているかを明確化することを目的とした。①と②からは捗々しい研究成果が得られなかったが、③においては以下のような重要な知見を得ることができた。即ち、一定の女優は男性優位が強固な定型の中で従属的ではなく女性を表現することに意識的であること、セレブとしての立場から社会運動に積極的に参与していること、それらの活動の中に新たなタイプの「女性中心映画」が生み出される可能性が胚胎していることである。
|