2000年代から2010年代にかけてのドイツ映画賞作品賞受賞作のうち、特に《白バラの祈り》と《ハンナ・アーレント》に焦点を合わせて研究を行った。《白バラ》については、同じく「白バラ」を題材とした映画で1980年代にドイツ映画賞を受賞した2つの作品および連邦大統領による「白バラ」追悼記念講義との比較考察を行った。《アーレント》については、作品の分析に加え、この映画がモチーフとするアイヒマン裁判が行われた1960年代を含む戦後のドイツ・アイデンティティに関して様々な言説と演説の分析を行った。これによって“良いドイツ国民”の描写から“凡俗なドイツ国民”の描写へと転換する傾向の一部を明らかにした。
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