研究実績の概要 |
実施計画で掲げた事例収集のうち、(社)日本ヒューマンビートボックス協会の協力により、台湾でのヒューマンビートボクサーの聞き取り調査を実施することができた。調査対象としたのは、台湾ビートボックスチャンピオンシップ5年連続チャンピオンのJimix氏と、台湾ビートボックス協会会長のAMic氏である。 Jimix氏は、POPダンスを習っていたもののヒューマンビートボックスは独学で習得した。その背景には、近年急速に広まった動画投稿サイトの存在があり、これなくしてはヒューマンビートボックスの流布はあり得ないと言えるほど、その存在価値は大きい。互いにヒューマンビートボックスの技術を披露しながら、技術向上を図っている。それは単なる物真似の域ではなく、ヒューマンビートボックスという一つのジャンル、一つの音楽表現法としての地位を確立していると言える。 また、台湾では、ヒューマンビートボックスの指導の際に、当然のことながら、漢字を使用する。その中国語(漢字)の「音(おん)」が持つ響きのうち、ヒューマンビートボックスの指導に適したものを採用することで、「b,t,p,t」のようにアルファベットを使った指導と同様の効果が期待され、初心者に対して簡易な指導法として活用できることが、Jimix氏への聞き取りで明らかとなった。さらに、中国語を使った指導の特徴としては、漢字はそれ自体に意味があるので、アルファベットを使用した指導法とは異なり、意味のある言葉に乗せて指導をすることで、初心者が覚えやすいという効果があることが確認された。(例:「b,t,k,t」 → 「不吃可吃」(食べられる、食べられないの意) ) なお、国内の事例調査は平成27年度の4月から5月の間に調査を延期した。また、収集した音源を分類する模倣音レファレンスも未完成のため、平成27年度の研究で早期に実現させたい。
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