研究課題/領域番号 |
26370193
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研究機関 | 札幌国際大学短期大学部 |
研究代表者 |
河本 洋一 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 教授 (50389649)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒューマンビートボックス / 音楽表現 / 模倣音 |
研究実績の概要 |
今年度は、国内のヒューマンビートボックスの演奏事例の収集をさらに進めるため、2016年11月6日、品川プリンスホテル・ステラボールで開催された、JAPAN BEATBOX CHAMPIONSHIP2016(以下、JBA2016)及び、指導者としての実績が豊富な山本一成氏による年少者への指導事例の収集をおこなった。 JBA2016は、ヒューマンビートボックスの国内大会としては最も古く、毎年全国各地からプレーヤーが参戦し、男性ソロ、女性ソロ、チームで最も優れたパフォーマンスをおこなった者がチャンピオンとなる、勝ち抜きバトルである。この大会を調査することは、日本のビートボックスの演奏(発音)技術の発展を直に調査出来るだけなく、音楽表現を構築していく手法の多岐多様性も調査することができる。 これまでにヒューマンビートボックスの音楽表現としての可能性については、身ひとつで演奏できる点や言語音からの発展性、プレーヤー同士が演奏技術を競い合えるヴィルトゥオーゾ性などの点を指摘してきたが、様々な表現事例を収集するにつれ、それらの演奏を客観的に捉えるための指標が必要となってきた。これについて、本研究ではこれまで、演奏技法の分類を、ザックス・ホルンボステルの楽器の分類に倣い、模倣の元となった楽器音に基づく分類という研究方法を採用してきたが、楽器音の模倣とは言えないヒューマンビートボックスならではの音が数多く出現し、分類方法に変更が必要であるとの結論に至った。 そこで、言語音コーパスの作成方法を援用し、ヒューマンビートボックス・コーパスの作成が可能であるかどうかの検討を開始した。これについては、具体的な成果物とはなっていないが、次の研究課題へと発展させるための基礎研究の成果として2017年度末には発表できる予定である。 なお、指導事例については、今後も継続して事例収集を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、ヒューマンビートボックスの表現に関する基礎研究であり、ヒューマンビートボックスとは何か、その表現技法にはどのような種類があるかに関する基礎的知見をまとめることを目的としている。 しかしながら、ヒューマンビートボックスの表現技法の分類について、当初より計画していたザックス・ホルンボステルの分類法では対応しきれないことが判明し、新たな分類法の必要性が生じてきた。 「やや遅れている」という区分は、この分類法の再検討が必要になったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度から取り組んでいる本研究は、3年間の間に国内大会が3回、世界大会が1回開催され、ヒューマンビートボックスの表現法が日進月歩で発展していることが確認されている。その背景には、インターネットの動画投稿サイトの存在があり、ヒューマンビートボックスで使用されている音について、まずは発音技法に着目しようとしていた研究方法は修正する必要に迫られたとも言える。 そこで、研究の最終年度となる2017年度は、発音技法の前に、音そのものの音響的特徴によるコーパス的な分類法を検討し、様々な音に対応できるように研究方法を修正した上で、これまで収集した表現データを改めて分類し、ヒューマンビートボックとは何か、表現技法にはどのような種類があるかを明らかにしたい。
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