研究課題/領域番号 |
26370195
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研究機関 | 昭和音楽大学短期大学部 |
研究代表者 |
小山 久美 昭和音楽大学短期大学部, その他部局等, 教授 (70525104)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | バレエ / 知的障害 / 教育 / ダウン症 |
研究実績の概要 |
当初の研究実施計画では、当該年度はボストンのアダプティブ・ダンス・プログラムを訪問調査する予定であったが、現地のスケジュールにより、ボストンにおいて最も効果的な調査が実施できるのは次年度であることが判明した。そのため次年度の予定と入れ替え、スペイン、マドリッドにあるダウン症者のバレエ団Danza Downの訪問調査を実施した。 Danza Downは、前年度の調査対象であった英国のフリーフォール・カンパニーと比較すると、プライベートカラーの強い団体であり、日本国内における同様の形態を持つ活動団体との類似性が見られた。フェスティバル等に参加し舞台でのパフォーマンスも積極的に行っているが、活動形態としては指導者が1名であり、保護者との連携も深い。個人として設立し、20年以上に及ぶ経験に基づく指導方法は、参考になる点が多かった。バレエだけでなくスパニッシュダンスも取り入れており、学習者の興味と伝統舞踊との関係性が興味深いものであった。研究協力者とともに継続して実施している、国内の特別支援学校におけるバレエ・ワークショップの手法を再確認する事ができた。 来年度に実施予定の調査と合わせると、目的と活動形態がそれぞれ異なる3種類の海外における実施事例を調査することとなり、最終年度では有意義な比較検証が可能になることが見込まれる。それにより、具体的な指導方法と実施可能な活動形態の提案を目指したい。 また、英国のフリーフォール・カンパニーを例とした、障害者に対する効果的なバレエ・ワークショップの指導方法に関する論文を執筆し、昭和音楽大学研究紀要に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外事例調査と並行して、国内における障害者の舞踊に関する活動調査も順調に進展しており、比較検証が可能となることから、活動に対する理解が深まっていると実感できている。常にバレエ・ワークショップの現場とも密接につながっていることが、机上だけではない研究成果を導き、有意義な結果を期待できる点がその理由である。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査においては、環境の違いから生じる困難を極力避けるため、十分な下準備を実施した上で臨む予定である。限られた機会を最大限に生かす努力をしたい。 国内の情勢把握に関しては、当初予定以上に充実した各関係機関との連携が見込まれている。また28年度も、文化庁事業で行っている特別支援学校でのワークショップを実施しており、実践における検証と活用が可能である。今後は更に音楽療法とバレエ・ワークショップの比較検証も追加して、より充実した研究の遂行を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査対象機関の状況により、27年度と28年度の渡航先を入替えたため、旅費に差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
28年度の旅費のほうが高額になることが見込まれており、予定通りの使用額になると思われる。
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