研究課題/領域番号 |
26370202
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
磯部 祐子 富山大学, 人文学部, 教授 (00161696)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 笑話 / れい洲餘珠 / 笑門 / 江戸時代 / 漢文 |
研究実績の概要 |
日本における漢文体笑話作品集は今のところ30種ほどとみられるが、そのうち『笑門』(1797)、『胡盧百転』(1797)、『笑堂福聚』(1804)、『善謔随譯続編』(江戸後期)、および筆記小説集(笑話作品を含む)『れい洲餘珠』(文政年間)については、その訳読を終えた。また、個々の笑話を先行小咄・中国由来の典故・使用語彙の特質の側面から考察した。 その成果は、二冊の書籍として世に問うことができた。一冊は、『江戸的笑―日本漢文笑話研究―』(湖北教育出版社,2015,207頁)であり、そこに収めた『訳準開口新語』『善謔随譯』『へん譚』の作品分析によって、日本漢文笑話のおおよそが明らかになった。またもう一冊は、『富山文学の黎明(一) ―漢文小説『れい洲餘珠』(巻上)を読むー』(桂書房,2015,132頁)である。当該書においては、江戸後期の筆記小説の中にも、笑話が収められていることを指摘し、江戸後期の文人世界の一端を明らかにした。 加えて、『れい洲餘珠』の考察の過程で、これまで明らかにされてこなかった、江戸時代における『聊斎志異』の受容についても明らかにすることができ、「江戸時代における『聊斎志異』の受容―『れい洲餘珠』を例に―」(『富山大学人文学部紀要第64号』pp.384-402,2015)として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己評価の根拠は以下の具体的成果に見ることができる。まずは二冊の書籍の公刊である。一冊目は『江戸的笑―日本漢文笑話研究―』(湖北教育出版社,2015,207頁)であり、そこに収めた『訳準開口新語』『善謔随譯』『へん譚』の作品分析によって、日本漢文笑話のおおよそが明らかになった。またもう一冊は、『富山文学の黎明(一) ―漢文小説『れい洲餘珠』(巻上)を読むー』(桂書房,2015,132頁)であり、江戸後期の筆記小説の中にも、笑話が収められていることを指摘し、江戸後期の文人世界の一端を明らかにした。 加えて、『れい洲餘珠』の考察の過程で、これまで明らかにされなかった、江戸時代における『聊斎志異』の受容についても明らかにすることができ、「江戸時代における『聊斎志異』の受容―『れい洲餘珠』を例に―」(『富山大学人文学部紀要第64号』pp.384-402,2015)として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
漢文笑話作品集のうち、未だを訳読していない作品集については、継続して訳読を行うとともに、上巻に続き『れい洲餘珠』(巻下)の訳読と解説集を今年度中に公刊する。また、訳読を終了したが未だ発表していない笑話作品集についても継続して紀要などに発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、作品の訳読と成果の公刊に多くの時間を割いたため、新資料の発見や国内外での発表に割く時間が少なく、調査旅費の使用が十分ではなかった。また、翻訳や資料の入力も自分で行うことも多かったため、謝金の使用も十分ではなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、笑話本の調査および成果の発表を積極的に行い、訳読を終えた作品の公開も謝金を用いて迅速に行いたい。
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