金沢市立玉川図書館並びに前田土佐守家資料館所蔵の能楽関連資料を調査・収集し、その成果を展示解説の形でまとめて公開した。加賀藩中期の能楽事情について『太梁公日記』の記事を大量に抜き出し、従来の能楽史記述にない詳細さで把握した。加賀藩で著述された謡曲注釈書『謡曲義解』の内、「卒都婆小町」分を翻刻し、解題を付した。近世から近代への過渡期の非体制的能楽である照葉狂言、今様能狂言について、『照葉俄早合点』を翻刻し、解題を付した。それらの資料研究を踏まえて、能「卒都婆小町」「芭蕉」の作品研究を、また泉鏡花の小説「笈摺草紙」「照葉狂言」の作品研究を論文化し、通説の検証と新しい読みの提案を行った。
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