研究課題/領域番号 |
26370209
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
石澤 一志 国文学研究資料館, 研究部, 特定研究員 (30507752)
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研究分担者 |
佐々木 孝浩 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (20225874)
中川 博夫 鶴見大学, 文学部, 教授 (70211414)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 九条家 / 九条家旧蔵本 / 九条道房 / 書誌学 / 文庫研究 / 蔵書形成 |
研究実績の概要 |
大正から昭和初期に散逸し、各地に所蔵される九条家旧蔵本について調査を行った。 江戸時代初期、その時期の当主であった九条道房によって行われたと思われる、書写活動を中心とした調査を行った。その結果、鶴見大学・実践女子大学・広島大学・島根大学・東海大学・学習院大学・日本大学・慶應義塾大学・早稲田大学・国文学研究資料館・正宗文庫などに、九条家旧蔵本およびその関連書が所蔵されていることを明らかにした。 またその他に、まとまった分量の九条家旧蔵の古典籍を所蔵している機関としては、天理大学付属天理図書館と宮内庁書陵部とがあり、その所蔵書ついて、悉皆的に調査した。これらは、実物の閲覧調査を行って書誌情報と内容を確認したものであり、特に必要なものに関しては、可能な限りの書影を収集した。 以上の調査結果を踏まえ、九条家旧蔵本の所蔵と書目、および書影の一覧を作成した。 そして、九条家の蔵書の形成過程を明らかにするべく、個々の作品の書承関係を調査した結果、九条道房の弟にあたる、栄厳との関係からと推定される、真言宗寺院の小野随心院・醍醐寺・東寺などとの貸借により、書写活動が行われたいたことが明らかとなった。その際「他筆」と呼ばれる、右筆が書写を担当していたことも、奥書から判明した。その人物の解明と特定を目指したが、現時点ではまだそれは明らかとなっていない。しかし「他筆」は複数人にわたり、九条家関連以外のところでも書写を行っている様相も見られることから、今後さらに追求していく必要がある。また、歌合関係書においては、三条西家の蔵書を利用して書写が行われているらしいことが判明し、当時の禁裏本との関係や、細川家の蔵書との類似点が明らかとなってきた。これらの詳細については、今後の考究課題となるであろう。
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