研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本中世における唱導(法会で導師が高座から行う説経)に関係する諸文化と『平家物語』との関係性に関するものである。資料として、安居院流(平安時代の天台僧である澄憲が創始した唱導の流派の一つ)の資料である国立歴史民俗博物館藏『転法輪鈔』や、東大寺の僧である弁暁の唱導資料を利用した。澄憲と世俗社会との交流から生まれた表白(法会開催の趣旨を述べた文章)の表現や、弁暁によって作られた後白河法皇をめぐる歴史語りが、『平家物語』の表現や歴史叙述へと引き継がれていることを明らかにした。
日本中世文学