具体的な研究成果としては、博文館の雑誌内容目次の作成があり、さらにそれらを活用した「少年世界」等の雑誌研究がある。出版・教育・雑誌メディアの分野から同館について多角的に考察、当時圧倒的な人気を誇った作家、巌谷小波を雑誌の主筆とした雑誌運営を研究し、博文館の少年少女向け雑誌の具体的な作品を通して小説観や文学観を発信していく総合雑誌としての様相を分析した。結果、当時の博文館の雑誌が大正期に花開く童心主義の土壌を作った様子を確認することができた。また、ターゲットとしての読者についても雑誌投稿欄を詳細に検討し、他誌との比較を通してその実態および読書空間の特質についてまとめた。
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