研究課題/領域番号 |
26370226
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
押野 武志 北海道大学, 文学研究科, 教授 (70270030)
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研究分担者 |
谷口 基 茨城大学, 人文学部, 教授 (20634075)
横濱 雄二 甲南女子大学, 文学部, 准教授 (40582705)
諸岡 卓真 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (40528246)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 共同シンポジウム / 研究者交流 / 探偵小説 / サブカルチャー / 大衆文化 / メディアミックス |
研究実績の概要 |
本研究は、近代日本の探偵小説の特質を、1920年代の世界同時的なモダニズム運動の中で捉え直し、そこから今日に至る探偵小説の展開を、西欧の探偵小説や日本の文学との関係だけでなく、マスメディアや映画をはじめとする視覚メディアとの錯綜した交渉関係性にも着目し、具体的な相において明らかにすることを目的にしている。さらに、多様なメディアとのジャンル横断的な探偵小説史を構築するためには、従来の方法論や文学理論では捉えきれないという観点から、新たな分析概念及び探偵小説理論の再構築も同時に目指す。それぞれの時代の科学的言説やテクノロジー、サブカルチャーとの交渉、探偵小説のメディアミックス展開にも目を向け、メディアとしての探偵小説の社会的な位置づけの変遷を分析概念の新たな理論構築によって明らかにする。 共同研究者は、以上のような研究目的に沿って、平成26年度の研究に従事した。探偵小説の近代性とジャンルの特殊性をめぐる通史的な展開と同時代言説との個別具体的な事象の分析を通した理論構築という二つの座標軸に基づいた方法論を共有しながら、研究を分担した。 押野武志(研究代表者)は、戦前期の探偵小説を中心に叙述トリックの史的展開を究明しながら、研究全体を統括した。谷口基(研究分担者)は、戦中・戦後の変格探偵小説を中心に、その史的展開と、「変格」概念の再定義を行った。横濱雄二(研究分担者)は、1970~80年代の探偵小説を中心に、メディアミックス研究を行なった。諸岡卓真(研究分担者)は、1990年代以降の探偵小説を中心に、ジャンルの純化と拡散化の諸相を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
吉田司雄(連携研究者)が研究代表を務める、研究課題「忍者と探偵、近代日本におけるキャラクター表象の形成と海外伝播に関する文化研究」(平成25・26・27年度の挑戦的萌芽研究)と共同のシンポジウム「忍者と探偵が出会うとき」(平成26年8月9日、北海道大学)を開催することができた。忍者表象や忍者映画との比較検討を通しての日本における探偵像の特殊性についての研究や日本の探偵小説のアジアにおける受容の実態についての研究と本共同研究を接続させることで、本共同研究とサブカルチャーとの相互関連性をさらに発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究成果を踏まえて研究を推進していくのはもちろんのことだが、多くの成果をまとめる総括的な研究の段階に至らなければならない。前年度と同様に、共同シンポジウムを企画している。そうしたシンポジウムの成果を踏まえて研究論文を執筆し、研究成果公開促進の補助金等を利用しつつ、出版公開を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に計画していた、資料収集のための出張が都合によりキャンセルになり、旅費を消化することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、改めて出張を予定している。
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