本共同研究は、近代日本の探偵小説の特質を、1920年代の世界同時的なモダニズム運動の中で捉え直し、そこから今日に至る探偵小説の展開を、西欧の探偵小説や日本の文学との関係だけでなく、マスメディアや映画をはじめとする視覚メディアとの錯綜した交渉関係性に着目しながら明らかにする長期的な史的研究である。 それぞれの時代の科学的言説やテクノロジー、サブカルチャーとの交渉、探偵小説のメディアミックス展開にも目を向け、探偵小説の社会的な位置づけの変遷を分析概念の新たな理論構築によって明らかにすることができた。
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