佐竹氏、南部氏、津軽氏に関わる系譜言説・歴史認識形成に関する調査研究を行なった。こうした言説が、寛永~寛文期に林羅山・鵞峯によって主導された幕府による「知の再編」に触発されて形成されたことを明らかにした。秋田藩の義家伝承の元となった縁起が古浄瑠璃に依拠して創作されたものであること、南部藩や津軽藩の系譜言説が、『吾妻鏡』のような史書に加えて、『太平記』のような軍記、あるいは他家の系譜言説などを参照しながら〈創作〉されていることなどを、具体的に解明した。また、その背景には他者(幕府・他大名・同族内部・家臣等)に対して自らの正統性を主張しようとする意図があることなどを明らかにした。
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