研究課題/領域番号 |
26370228
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山崎 義光 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (10311044)
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研究分担者 |
畔上 秀人 東洋学園大学, 現代経営学部, 教授 (90306241)
高橋 宏宣 福島工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (90310987)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 経済小説 / プロレタリア文学 / 新興芸術派 / 金融・経済リテラシー / 伊藤永之介 / 万宝山事件 / 満州 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、本研究の成果発表およびそれに関する調査研究を行った。研究成果報告会議を、山崎義光(研究代表者)、畔上秀人、高橋宏宣(研究分担者)の3名により、2017年3月10日(東京都、水道橋グランドホテル・会議室)開催した。この会議で、本年度の成果発表および本共同研究の総括的成果報告を行った。各自の概要は以下のとおりである。 山崎義光は、成果論文「1930年前後における経済小説の萌芽 ─プロレタリア文学派と新興芸術派との接近─」と今後の展望について報告を行った。1930年前後における日本の時事的な経済変動を題材とし、経済小説の萌芽として現れた伊藤永之介「恐慌」と久野豊彦「人生特急」を起点として、文壇におけるプロレタリア文学派と新興芸術派が経済・時事を主題とした点で共通したことを論じた。グローバル化した経済現象が文学の題材として浸透していることに着眼することで従来の文学史とは異なる表象の系譜の一端を明らかにした。 畔上秀人は、「戦前期経済小説の存在について─形式的定義から出発して─」について、学会発表の報告と論文発表前の経過を報告し、質疑と意見交換を行った。明治から戦前期における「経済小説」という概念の出現状況をふまえ、具体的な小説をとりあげて経済事象の取り扱いについて考察を加えた。戦前期における経済小説と金融・経済リテラシーの水準を考究する成果となる。 高橋宏宣は、成果論文「伊藤永之介「万宝山」の周辺─一九三一年の満州理解への一視座─」と今後の展望について報告を行った。グローバル化する経済的政治的な環境のなかにあって日本、中国、朝鮮がかかわった万宝山事件については、当時の新聞報道や中国、韓国で小説化したものが存在している。それらのなかで伊藤永之介の小説「万宝山」の特質を明らかにした。
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