本研究は、グローバル化する経済現象が、どのように表象されたかという観点から、1930年代の日本の文学を対象に研究をおこなった。従来、この時代は、プロレタリア文学派と芸術派の対立という観点、ナショナリズムと文学という観点で理解されてきた。しかし、経済現象が文学作品においてどのように表象されたかという観点にシフトさせることで、従来の文学史的な理解とは異なる新たな文学史的展望を開こうとした。加えて、「経済小説」として書かれた小説のなかで、経済問題がどのように描かれてきたかについて調査研究した。それによって、1930年代までの日本における金融リテラシーの普及状況の一端を明らかにした。
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