研究実績の概要 |
①「近世の養生論における養生の目的の変遷」をテーマに「“健康”の歴史性:「健康」「衛生」概念の歴史的変遷」研究会・NIHU基幹研究プロジェクト予備研究(地球研)・「エコヘルス」にて発表した。これは本研究の2014年度の研究目的の一つである養生論を支える生活・人間・自然への考え方における貝原益軒と鈴木朖の比較検討を達成するものであった。江戸時代の養生観は、現代までの健康観念の形成に極めて重要な意味を持っていることを改めて確認できた。他の研究者からの指摘及び助言を取り入れ、健康観念の推移における江戸の養生論の位置づけについてまとめている。 ②『養生要論』『続養生要論』の現代語訳・注釈書の作成については、『養生要論』の現代語訳を行った。学会・国際シンポジウムの参加を通して、江戸時代の養生論については、英訳版がある貝原益軒の『養生訓』のみが海外の研究者に知られているが、他の養生論はほとんど知られていない状況である。当初の計画にはなかったが、江戸時代の養生論の実態像・全体像を国際社会においても、その存在と重要性を認識させるために、『養生要論』『続養生要論』の英訳に取り掛かる準備を開始した。 ③シンポジウム「東洋学・アジア研究の新たな振興をめざして」PARTⅡ(東洋学・アジア研究連絡協議会)及びUnsettling Boundaries: Nature, Technology, Art, 2014 International Symposium on Literature and Environment in East Asia等の参加によって江戸時代の養生観と自然観を分析するにあたって、エコクリティシズムによるアプローチが現代の健康と環境の相互関係における江戸の養生論の歴史的重要性を考える上で十分な価値があることを認識し、エコクリティシズムによるアプローチも今後展開するつもりである。
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