研究実績の概要 |
本年度は、江戸時代の養生論を支える生活・人間・自然への考え方を分析解明し、前年度の研究成果及び研究進行に基づき、江戸時代の養生論が現代人の健康認識・環境問題の対応を考察する際にいかなる意義を持つのかに関しての再検討に努めた。特に2016年7月までの一年間のサバティカル研修において環境文学の拠点である米国のアイダホ大学で、国際的な研究者のネットワークに参加し、エコクリティシズムによるアプローチを究め、本課題の解決及び発展に大きな励みと良い刺激を得ることができた。研究成果は以下の通りである.【書評】NUMBERS AND NERVES: Information, Emotion and Meaning in a World of Data, Edited by Scott Slovic and Paul Slovic,『文学と環境』No.18,2016. 【学会発表】①Place, Word, and Health: Yojo/Yangsheng (養生) Culture in the Pollution Era, University of Alaska Anchorage ②「養生論の雅俗融合過程に見る人体認識の変遷:「家」に喩えられた身体を中心に」総合地球環境学研究所、京都③Situating Healing in the Era of Nuclear Pollution: How wellbeing is sustained through PLACE, Dongguk University, Seoul, Korea ④Searching for Therapeutic Landscapes in the Era of Health Endangerment, Tamkang University, Tamsui, Taiwan⑤「江戸時代の養生論についての研究」総合地球環境学研究所、京都。 一方、養生論については英訳版がある貝原益軒の『養生訓』のみが海外の研究者に知られている状況を把握し、本研究は鈴木朖の『養生要論』『続養生要論』について、これまでの課題であった現代語訳・注釈に加え、両書の英訳の準備も行った。更に、研究成果を社会に還元するため、「江戸時代の健康観-養生論に見る人体認識をめぐって」を題目に2017年4月2日に開催される本務校が主催する一般市民を対象とするミニ講演の準備も努めた。
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