27年度は、研究計画の第2フェーズにあたり、主として昨年度に収集した蝶夢同座の翻刻を行った。翻刻は、「風もなし歌仙」(26)、「待宵や歌仙」(27)、「はつ雁や五十韻」(29)、「若もやと歌仙」( 30)、「南瓜に五十韻」( 32)、「十六夜や歌仙」( 33)、「まだ庭の五十韻」( 34)、「嬉しさに百韻」(36)、「夜もしるき歌仙」( 37)、「欄干に歌仙」( 38)、「松古き歌仙」(39)、「菊の香や百韻」(40)、「錦織る歌仙」(41)、「雨晴て歌仙」(100)、「蓑虫の半歌仙」(102)、「粥に物歌仙」(104)、「町はしの歌仙」(107)、「咲くたらぬ歌仙」(116)、「背戸も門も二吟」(117)、「郭公歌仙」(118)、「蝶夢送別・右ひだり歌仙」(120)、「旅に病で百韻」(121)、「鱸つる歌仙」(124)、「月しぐれ百韻」(133)、「遊びたき半歌仙」(136)、「楽々と半歌仙」(141)、「木姿送別・虚言つかぬ歌仙」(154)、「 人間の表六句」(162)、「伊賀に隣る半歌仙」(174)、「隈もなく半歌仙」(175)等の写本を中心に行った(番号は『蝶夢全集』(和泉書院 平成25年6月)所収の「蝶夢同座の連句目録」の番号)。 また、平成27年度中に収集できなかった資料を引き続き収集した。 さらに、蝶夢の連句作品を分析するための基礎作業として、蝶夢校注『俳諧十論発蒙』の写本2点(岐阜県図書館本、佐々醒雪旧蔵本)を比較調査し、蝶夢の俳諧観の変遷、伝書に対する価値観の変化などを具体的に明らかにした。それにより、岐阜県図書館本が明和元年、佐々醒雪旧蔵本が明和6年の校注本であることも論証した(俳文学会第67回全国大会において口頭発表)。
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