まず、蝶夢同座の連句作品を収集、翻刻した。その結果、田中道雄氏・玉城司氏・伊藤善隆氏が主として収集翻刻したものと合わせて、蝶夢同座の連句作品全193点の翻刻が揃った。 次に、蝶夢同座の連句作品の分析を行った。その結果、美濃派ほど卑俗ではなく、かといって蕪村ほど高雅ではないものとして、日常生活における情の機微を描き、日常において生きる意味を与える表現行為という特徴が明らかとなった。これは田中道雄氏が解明した、近代俳句の源流としての蝶夢発句の表現的特徴と重なるものであり、芭蕉から支考、そして蝶夢へと継承された俳諧本質論に基づくものである。
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