本研究の目的は、広島県上下町出身の女性作家・岡田(永代)美知代(1885-1968)について、田山花袋の「蒲団」のモデルとしてのフィルターを排して、一人の女性作家として総合的に評価し直すことである。文献調査やインタビュー実施によって詳細な著作リストや年譜を作成した。また、生前未発表原稿の翻刻紹介を行なうとともに、残された作品や書簡を解析し、花袋との関係や地域性・労働・少女小説といった観点から、美知代の文学の特質を解明した。さらに、著作権継承者の許しを得て、これらの成果をホームページで公開し、広く研究と普及に寄与させた。
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