• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

成島家を中心とする近世中後期幕臣文化圏の研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370239
研究機関広島大学

研究代表者

久保田 啓一  広島大学, 文学研究科, 教授 (80186452)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2019-03-31
キーワード成島家 / 成島信遍 / 成島司直 / 冷泉為村 / 桜町院 / 大田南畝 / 和文 / 和歌
研究実績の概要

成島家の歴代の資料収集と伝記事項の調査研究、成島家を含む近世中期江戸文壇の文学状況とそこにおける成島家の位置づけを主なテーマとして、平成29年度の研究を行った。
具体的には、成島家3代信遍の伝記研究を継続し、寛保元年から3年に至る年譜を継続して執筆した「成島信遍年譜稿(十七)、幕臣の旗本から御家人、さらには町人まで、幅広い人脈を反映した大田南畝編の和文集「ひともと草」の注釈研究「大田南畝編『ひともと草』試注(十五)-米人「ひゝないち」(下)-」、そして成島信遍が江戸門人を代表する形で師事した冷泉為村と、為村が心から近侍した桜町院との関係を掘り下げた「冷泉為村と桜町院」の3本の業績を上げることができた。また、東京の国文学研究資料館その他で関連資料の収集に努め、成島家と親交を持った旗本や町人の叢書類を総合的に検討する作業を継続して行っている状況である。
成島家歴代の中でも信遍の伝記研究は、ようやく宝暦期の手前まで辿りつき、事項が飛躍的に増加する宝暦期の執筆の目安が立てられつつある。また、伝存資料の多い6代司直についても静嘉堂文庫蔵の歌書をフィルムなどで大量に集めることができ、これからの検討の足掛かりを作るに至った。
なお、「冷泉為村と桜町院」については、現時点で刊行日時が未定のままとなっているが、校正はすべて終了して刊行を待つのみである。従来、精密な解読が行われなかった資料をもとに、二人の関係と歌壇における位置を見定めることができたことの意義は大きいと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

重責を担う公務のために、平日はなかなか調査研究に従事できないという制限があるが、これまでに収集済みの資料などをもとに、成島信遍の伝記研究を鋭意進めるなど、相応に努力している。
ただし、資料の調査にまとまった時間を取ることが難しい場合が多く、予定した資料の収集が必ずしも進んでいないのが実情である。公務の隙間を活かして調査旅行を組み入れ、遅れを取り戻すべく計画中である。

今後の研究の推進方策

公務の入らない週に調査旅行を繰り返し、信遍の関連資料で未調査のものをまず集め、続いて司直の資料に重点を移したい。4代和鼎、5代勝雄については、もともと伝存資料が少なく、ほぼ収集し終えている。
信遍の「年譜稿」については、農学や社会事業の専門家からの問い合わせも入るなど、文学研究の領域を超えて広汎な関心を集めつつあることを実感する。最終年度に向けて可能な限り資料を集め、伝記研究、文壇研究、資料研究の形で公表に努めたい。

次年度使用額が生じた理由

公務多端のため、予定した資料調査旅行の実施が困難となり、複写費を中心に次年度に回す金額が生じた。平成30年度においては、まとまった叢書類の複写を依頼し、幕臣・大名の閲歴調査に必要な書籍を購入するなど、有効に使用して研究のとりまとめを行う所存である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 冷泉為村と桜町院2018

    • 著者名/発表者名
      久保田啓一
    • 雑誌名

      勉誠出版刊『天皇歌壇と近世文化』(仮)

      巻: - ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] 大田南畝編『ひともと草』試注(十五)-米人「ひゝないち」(下)-2017

    • 著者名/発表者名
      久保田啓一
    • 雑誌名

      鯉城往来

      巻: 20 ページ: 61-75

  • [雑誌論文] 成島信遍年譜稿(十七)2017

    • 著者名/発表者名
      久保田啓一
    • 雑誌名

      広島大学大学院文学研究科論集

      巻: 77 ページ: 1-16

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi