研究課題
基盤研究(C)
成島信遍に代表される成島家の歴代が、近世中後期の幕臣文化圏でどのような活動を展開し、どのように位置づけることができるかを、同時代の幕臣文人や諸藩の武士の活動とも関わらせながら総体として論じた。具体的には、成島信遍の年譜形式の伝記研究、和文の会の成果である「ひともと草」の注釈研究、幕臣文化圏の最上層に位置する田安徳川家の人脈に即した文学活動の跡付け、江戸を中心に諸国へと拡大を見せる雅俗文化の内実の検討など、成島家の歴代を中心に据えつつ多岐にわたる成果を示すことができた。
日本近世文学
成島信遍という人物は、一般にはほとんど知られていない。しかし、信遍の事績を調べれば調べるほど、近世中期の江戸で彼がいかに好学の武士の尊敬を集めたか、いかに広汎な人脈を基礎として豊富な学芸活動を展開したかが知られ、信遍及び成島家の歴代を通しての江戸文壇の考究が有効な方法であることを如実に知ることができた。信遍の生涯を辿る伝記研究の完成は、続く研究テーマとして設定ずみである。