研究課題/領域番号 |
26370240
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中根 隆行 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80403799)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 朝鮮俳句 / 朝鮮詠 / 在朝鮮日本人 / 朝鮮俳人 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、これまでに収集した朝鮮半島で刊行された俳誌を中心に、朝鮮俳句の傾向分析を継続的に実施した。朝鮮俳句の傾向性を論じた資料とともに在朝鮮日本人における俳人脈にも注目し、戦後にも視野を延ばして、本研究の基本的なデータについてまとめている。また、朝鮮半島のホトトギス系俳句と連携する満洲地域の俳句活動にかんして資料調査を実施し、別途資料収集を進めている。 本年度の成果としては、「李桃丘子と俳句―朝鮮俳句の解放/敗戦前後から現在へ」(『跨境―日本語文学研究』第3号、東アジアと同時代日本語文学フォーラム×高麗大学校GLOBAL日本研究院、2016年6月、pp.51-62)がある。これは、朝鮮(韓国)俳人である李桃丘子を対象に、おもに1940年代の朝鮮俳壇の動向と、解放後の李桃丘子の動向について検証したものである。 また、韓国で近刊の『在朝日本人日本語文学史序説』(ヨンラク社、韓国語)に「1910年代の在朝日本人と朝鮮俳句―石島雉子郎と楠目橙黄子を中心に」と「1930年代の朝鮮俳壇―朝鮮郷土色の議論と俳句雑誌『草の実』を中心に」を寄稿している。前者は朝鮮俳壇の形成期である1910年代までの動向をこの時期のキイパーソンである石島雉子郎と楠目橙黄子に焦点をあてて論じたもの、後者は京城刊行の『草の実』を中心に、1920年代後半から1930年代における朝鮮俳壇の動向を論じたものである。 以上の成果において、朝鮮俳句の地域的アイデンティティの推移、1930年代の朝鮮郷土色論と朝鮮俳壇の転機、戦時下の朝鮮俳句と朝鮮俳人の動向などをまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の進捗状況は、朝鮮半島で刊行された俳句雑誌の調査について散逸資料や所蔵先不明の資料の調査のため、遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、これまでに収集分析した資料を中心に検証を進め、同時にできる限り散逸資料の行方を明らかにして、本研究を推進する次第である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の調査のなかで散逸資料の所蔵先が一部明らかになり、資料調査のために次年度使用額として翌年度に繰越をした。繰越分は平成29年度の資料調査等に使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
使用計画としては、資料調査のための旅費等を中心として支出する予定であるが、一部は研究の総まとめとして謝金やデータベースのための器機購入等にも充てるものとする。
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