第一に、室鳩巣の代表的な和文著述『駿台雑話』について、20本以上の書誌調査を行い、2種類の版が存在することを確認した。また、本書は近世期のみならず昭和20年頃まで、高等学校などの国語や倫理の教材としてよく読まれていたことを明らかにした。第二に、『駿台雑話』における武家説話と強い関連を持つ『赤穂義人録』について、本書が東アジアの漢字文化圏において広く読まれること期待して書かれたことを指摘した。第三に、『六諭衍義大意』の成立背景について、東アジアの教育動向との連動という問題を加味して考察した。第四に鳩巣の代表的な和文著述4編について、全文電子テクスト・データを作成し、WEB上に公開した。
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