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2015 年度 実施状況報告書

文学雑誌『若草』における読者階層の形成と混交をめぐる総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26370249
研究機関日本大学

研究代表者

小平 麻衣子  日本大学, 文理学部, 教授 (40292635)

研究分担者 島村 輝  フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (90216078)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード女性誌 / 読者分析 / 短歌 / 映画 / 文芸時評 / 懸賞小説
研究実績の概要

本年度の活動として、(1)『若草』目次入力、(2)定例研究会開催を行った。『若草』に関する基礎情報の整理を行い、作家や文芸思潮を横断した方法論を視野に入れながら、具体的分析を行うのが本研究の目的である。下記定例研究会では、小説、短歌、文芸時評、映画について、各作家の執筆スタンスや、読者参加と雑誌の権力様態についての分析を進めた。
●第4回例会(2015年4月25日(土)14:00~18:00、日本大学文理学部)小長井涼氏(日本大学大学院後期博士課程 )「新興短歌と「若草」の読者」、竹内瑞穂氏(愛知淑徳大学)「「若草」の波紋―読者欄の論争を読む―」●第5回例会(2015年9月19日(土)14:00~18:00、日本大学文理学部)小川貴也氏(日本大学大学院博士前期課程 )「「座談室」の拡大と変容―『若草』五巻前後における<記者様>の介入を手がかりに」、服部徹也氏(慶應義塾大学大学院後期博士課程)「女工とモダン・ガール―林芙美子を視座に投稿欄を読む」●第6回例会(2015年12月19日(土)14:30~18:00、日本大学文理学部)澤本知彦氏・鈴木孝典氏・鈴木友梨江氏・小川貴也氏・小長井涼氏(日本大学大学院)「『若草』と林芙美子―初期テクストにおける文体の変遷―」、松本和也氏(信州大学)「昭和一〇年代文芸時評からみた『若草』文壇時評」●第7回例会(2016年2月13日(土)14:00~18:00、工学院大学新宿校舎)徳永夏子氏(日本大学他非常勤講師)「初期『若草』と女性の書き手―『女学世界』を媒介として―」、吉田司雄氏(工学院大学教授)「教養としての映画―「若草」にみる外国映画受容―」、島村輝氏(フェリス女学院大学教授)「太平洋戦争開戦という「時局」―「十二月八日」「律子と貞子」を中心に―」、井原あや氏(大妻女子大学他非常勤講師)「復刊後の「若草」―新人小説コンクール・早船ちよを中心に―」

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

『若草』の目次データベース化の準備としての入力作業は、概ね計画通り進捗している。
ゲストを招いた定例研究会においては、小説、短歌、文芸時評、映画という多様なジャンルへの目配りができた。太宰治や林芙美子といった個別の作家の営為の分析、動態的な読者の分析、また雑誌の欄を横断した時代の文学モードの分析は、具体的な事例の発掘だけでなく、方法論的の探究にも寄与するところがあったと言える。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、5月に国際シンポジウム「雑誌『若草』―1920年代から1940年代までの文学と文化 ―」を、フランストゥールーズ・ジャン・ジョレス大学にて行う予定にしている。フランス側ゲストを交え、国際的な雑誌研究、あるいはモダニズム研究の成果としたい。また、定例研究会も予定しており、研究発表の充実をはかりたい。目次データについては、公開を前提とした最終段階として整理を進める。

次年度使用額が生じた理由

目次データ入力に必要とした時間数が計画より少なく、人件費が縮小したためである。研究発表についても、大学院生の発表者が多くを占めたため、謝礼金の発生が当初の予定より少なく抑えられることになった。

次年度使用額の使用計画

平成28年度は、国際会議を予定しており、ゲストが当初の予定より増加していることなどから、計画以上の支出が予想されるので、それに充てる。また、最終年度として、目次データベースの整理に伴う人件費、公開に伴う諸費用が追加で発生する予定であるので、それに充てる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 津田楓風《犠牲者》と太平洋戦争開戦期の太宰治――小林多喜二を媒介として2016

    • 著者名/発表者名
      島村輝
    • 雑誌名

      シンポジウム「戦争と表現――文学、美術、漫画の交差」報告書

      巻: 1 ページ: 13-21

  • [雑誌論文] 『若草』における同人誌の交通―第八巻読者投稿詩について2015

    • 著者名/発表者名
      小平麻衣子
    • 雑誌名

      語文

      巻: 152 ページ: 59-69

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 生き延びる『放浪記』―改造社版と新潮社版の校異を読み直す2015

    • 著者名/発表者名
      小平麻衣子
    • 雑誌名

      藝文研究

      巻: 109-1 ページ: 131-147

  • [雑誌論文] 林芙美子「放浪記」のカチューシャ2015

    • 著者名/発表者名
      小平麻衣子
    • 雑誌名

      語文

      巻: 153 ページ: 18-24

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「大戦争」と「女性」の眼差し――太平洋戦争開戦時の太宰治の短篇から2015

    • 著者名/発表者名
      島村輝
    • 雑誌名

      星灯

      巻: 2 ページ: 80-91

  • [学会発表] 1933年、それぞれの風景――多喜二・小津・太宰たちの見た「転換時代」2015

    • 著者名/発表者名
      島村輝
    • 学会等名
      北京師範大学
    • 発表場所
      北京師範大学
    • 年月日
      2015-10-30
    • 招待講演
  • [学会発表] 「新感覚派」は「感覚」的だったのか?- 同時代の表現思想と関連して2015

    • 著者名/発表者名
      島村輝
    • 学会等名
      清華大学
    • 発表場所
      清華大学
    • 年月日
      2015-10-29
    • 招待講演
  • [学会発表] 「大戦争」と「女性」の眼差し――太平洋戦争開戦時の太宰治の短篇から2015

    • 著者名/発表者名
      島村輝
    • 学会等名
      北京日本学研究センター設立30周年記念 国際シンポジウム「アジアにおける日本研究の可能性」
    • 発表場所
      北京日本学研究センター
    • 年月日
      2015-10-25

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公開日: 2017-01-06  

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