研究課題/領域番号 |
26370250
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
川村 正典(川村湊) 法政大学, 国際文化学部, 教授 (70224855)
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研究分担者 |
守屋 貴嗣 法政大学, 国際文化学部, 講師 (60597813)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 文学一般 / 日本文学 / 近・現代文学 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、アメリカ合衆国(ニューヨーク)、ドミニカ共和国(サントドミンゴ、ダハボン)、ボリビア(サンタクルス、コロニアオキナワ、コロニアサンファン)、メキシコ(メキシコシティ)を調査し、多くの資料を収集した。現地移民の方たちからも情報収集を行い、加えて、帰国後もEメールなどによって、継続して意見交換を行うことが出来る人的交流が出来ている。 また、昨年度、増山朗『増山朗作品集 グワラニーの森の物語 一移民の書いた移民小説』(川村湊編、インパクト出版社、2013・8)を刊行した。本書刊行をきっかけとして、著者増山朗と生前親交のあった、ホルヘ・ゴンザレス氏(増山朗主宰日本語同人誌『巴茶媽媽』創刊同人)や、曾昭陽氏(台湾宏観電視特派員)より当時の状況をうかがい、通時的に研究を行っている。曾昭陽氏編纂の『台灣人阿根廷移民史』(阿根廷台灣文化協会、2012・10)も収集し、現地の日系移民を取り巻く状況も含め、多角的に研究を行っている。また、韓国で刊行された、当研究協力者・金煥基編纂による『アルゼンチン韓国系移民作品集』1・2、『ブラジル韓国系移民作品集』1・2(ともにボゴサ書店、2013・8)は、本研究の成果をまとめ、これまでに現地文芸同人誌に発表された、韓国語による文学作品を幅広く収録したものであり、本書刊行によって、現地韓国移民コミュニティが復活し、現在も人的交流を継続出来ている。そのため、昨年度までの研究の継続として、本研究成果を積み重ねることが出来ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、アメリカ合衆国(ニューヨーク)、ドミニカ共和国(サントドミンゴ、ダハボン)、ボリビア(サンタクルス、コロニアオキナワ、コロニアサンファン)、メキシコ(メキシコシティ)を調査した。その際、各調査地で多くの資料を収集し、現地移民の方たちからも情報収集を行い、帰国後も継続して意見交換を行うことが出来る人的繋がりを形成出来ている。具体的には、米国韓国文人協会会長チェ・ヨンソン氏、作家ヨン・ボンウォン氏、ハ・ウン氏などと面談し、文芸雑誌『ニューヨーク文学』(全26巻)を購入した。現在精読し、分析を行っている。 中南米の国々(ドミニカ共和国、ボリビア、メキシコ)では、それぞれの国で訪れた移住地において、日本語学校・韓国語学校を訪問し、生徒たちの作文集を複写、収集した。それにより各国の日本語・韓国語の教育システムや子どもの視点による生活状況など、現在分析中である。加えて、刊行されている各移民史も収集した。 特にボリビアでは平成26年度がコロニアオキナワ60周年であり、記念祭式典に参加し、現地沖縄系移民だけでなく、沖縄県の自治体の方々とも交流を持つことが出来た。オキナワ第一日ボ学校にも訪問し、生徒たちの作文集を収集した。コロニアサンファンも訪問し、多くの現地施設(サンファン事務所、移民資料館、日本語学校、文化会館診療所、リハビリセンター、農地見学など)を訪れ、資料収集も行った。各国それぞれの方たちとは、Eメールを主たるツールとして、現在も人的交流を継続出来ている。そのため、昨年度までの研究成果のもとに、本研究成果を積み重ねることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究成果のもと、本年度も中南米の国を調査に訪れ、日系・韓国系移民による日本語・韓国語文学作品の収集、整理、読解を行う。夏季長期休暇を利用して現地に赴き、調査を行う。移民研究を専門に行っている日本国内研究者、韓国国内研究者など、他にも現地研究機関に所属している研究者とも話し合いを行い、調査研究に役立てていく。また、現地移民コミュニティを中心に、実作者との面会、また日本国内に住む移民経験者にもインタビューを行い、現場の意見も取り入れながら調査研究に取り組んでいく。
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