平成28年度は、研究の最終的なまとめとして、韓国・ソウルにある東国大学校において開催された国際研究会に参加した。当研究の協力者である金煥基氏が所長をつとめる、韓国・東国大学校日本学研究所の主催による国際研究会である。そこで当研究分担者・守屋貴嗣氏が「日系移民文学(日本語文学)の形成と展開」題して研究発表を行い、当研究協力者・高木佳奈氏が「日系移民による文学作品の翻訳-帰国二世、酒井和也の場合―」と題した研究発表を行った。それらの研究発表を受けながら、当研究代表者・川村湊が研究総括を行った。 韓国での移民研究は、文学研究に限らず、他分野でもこれまでより盛んになってきているため、韓国語で書かれた文学作品が、移民研究のテキストとして数多く用いられている現状である。そのため研究会では、文学研究者に限らず、様々な分野の研究者から多くの質問を頂いた。また、韓国における日本研究の立場から、日本の移民研究の現状と韓国の移民研究の現状との比較や問題点、研究手法についての意見も数多く提出された。 さらに、これまでの研究調査において収集した、韓国系中南米移民文学資料を最終確認し、分野別に分類作業も行った。作品の読解と分析を継続して行えるようにするのが目的であり、この作業は今後も引き続き行っていく予定である。 また、平成26年度から行っている当研究の総まとめとして、「平成26年度~平成28年度中南米日系移民および韓国系移民による文学に関する総合的研究報告書」を作成した。
|