本研究では、俳諧が本来的に持っていた「人を結び付ける文化」としての機能に注目することで、俳諧の文化的な価値、俳諧資料の持つ多様性、について検討した。具体的には、「批点文化」・「伝書文化」・「手紙文化」の3つの視点に拠ることで、これまでの俳諧研究では重要視されていなかった点印や募句チラシ、伝書や書簡、人名禄や俳人書簡の文例集などの諸資料を研究の俎上に載せることとなった。 その結果、従来は評価の低かった月次句合が、地方の俳人と都市の宗匠を結びつける重要な機能を果たしていたとする見通しを得ることができた。このことによって、文化として俳諧を再検討する意義とその方法の定着が一歩進んだと考えている。
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