研究課題/領域番号 |
26370262
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研究機関 | 東京都立産業技術高等専門学校 |
研究代表者 |
河野 有時 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (70290723)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 近代短歌 / 動詞の終止形 / 口語短歌 / 『一握の砂』 / 『池塘集』 |
研究実績の概要 |
本年度(平成26年度)は、歌末が ・ 「つ」「ぬ」「たり」「り」「き」「けり」といった時の助動詞 ・ 動詞の終止形止め ・ 助動詞「た」 である歌について調査をおこなった。対象とした歌集は与謝野鉄幹『東西南北』、金子薫園『かたわれ月』、与謝野晶子『みだれ髪』、佐佐木信綱『思草』、尾上柴舟『銀鈴』、正岡子規『竹の里歌』、山川登美子他『恋衣』、窪田空穂『まひる野』、相馬御風『睡蓮』、落合直文『萩之家歌集』、青山霞村『池塘集』、平野万里『わかき日』、若山牧水『別離』、前田夕暮『収穫』、金子薫園『覚めたる歌』、与謝野鉄幹『相聞』、若山牧水『酒ほがひ』、石川啄木『一握の砂』、北原白秋『桐の花』である。 また、青山霞村『池塘集』については、わが国初の口語歌集であるということに注目し、初版と訂正再版の異動を明らかにするために対照表を作成するとともに、その歌集の表現から近代短歌と助動詞の「た」との関係性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
明治40年代以降の歌集については動詞の終止形止めの歌の調査を中心として近代短歌の歌末表現についての調査を概ね終了することができた。 『池塘集』についても考察をおこない、「『池塘集』考ー近代短歌の困惑ー」「『池塘集』 初版訂正再版対照表」を『国際啄木学会東京支部会会報』第23号に発表できた。また、国際啄木学会春のセミナーにおいて口頭発表をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、『一握の砂』を中心として、動詞の終止形止めの歌の特質について考えていきたい。その際は動詞の終止形が持つ無色性と無標性に着目して、一首の中において無色性が発語者への手がかりを与えないことから、無標性が歌集の中において対立する有標性との連環から歌集の世界を切り開いていくことを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際啄木学会の大会が国内で行われると想定し、50000円を計上していたが、台湾で行われたために日程の都合からも参加することができなかったことによる。また、その他の費用は、消耗品の購入等を目的としていたが、今年度は特に利用することがなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
図書や文献の入手のために利用する。
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