研究課題/領域番号 |
26370268
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小林 英美 茨城大学, 教育学部, 教授 (70277862)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 予約購読出版 / 大西洋横断 / イギリス文学 / 定期刊行物 / 書評 / ネットワーク / 出版社 / 18-19世紀 |
研究実績の概要 |
予定していた人数よりも若干多い詩人を対象として、イギリス女性詩人のアメリカでの定期刊行物書評の検証と考察を実施した。具体的にはメアリー・ロビンスンのものが2誌、ヘレン・マライア・ウイリアムズのものが1誌、フェリシア・へマンズのもの1誌、ジョアンナ・ベイリーのものが16誌、アン・グラントのものが1誌、アン・イアズリーのものが1誌での書評を研究した。資料は、当初予定していた海外での収集ができなかったため、インターネット上にある資料を収集して分析することになった。 その結果、イギリスの書評の転用も頻出していることが確認でき、書評に時間差がほとんどないことがわかった。つまり作品受容・評価の時間差はほとんどなく、英米読者層の文学思潮はほとんど足並みをそろえたものであったことが実証的に確認できた。また、1850年代の記事では、女性詩人については伝記的な紹介が頻出しており、同時代の女性の社会的立場の改善を求める思潮・社会的動向とも深く関連があることがうかがわれ、今後の新たな課題を発見できた。 この研究成果の一部は、欧米言語文化学会 第133回例会(日本大学芸術学部江古田校舎)において発表した。また近日刊行の編著『読者ネットワークの拡大と文学環境の変化――十九世紀以降にみる英米出版事情』で、女性詩人アン・グラントについての研究成果の一部を反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は校務の都合のため、予定していた海外での基礎資料の収集ができなかった。そのため、アメリカでの購読者層の分析作業が遅延した。
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今後の研究の推進方策 |
まず本年度実施できなかった海外での資料収集・調査を、夏期休暇中に実現する。その調査を時間的にも効率的に行うために、7月までに調査対象のさらなる具体化、調査対象の図書館等へ資料閲覧・データとしての保存(USB)が認められるかの再確認を行う。データでの保存が認められれば、資料分析は帰国後にも行うことができ、作業の効率化が図れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた海外の図書館での資料収集が校務の都合でできなくなったため、その渡航費用と資料収集にかかわる費用を執行することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に海外の図書館での資料収集を実施して予算を執行する。
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